ヘビー タイプのウイスキー「ポートシャーロット10年」について
スコッチの中でヘビーなスモーキータイプのウイスキーを求めるなら、まずはアイラモルトがおすすめです。
今回ご紹介するポートシャーロット10年は、アードベッグほどスモーキーさ(フェノール値)は高くなく、程よいスモーキーさとフルーティーさが調和したバランスの良いシングルモルト スコッチウイスキーです。
- アイラモルトの代表格の一つ
- フェノール値は40PPM
しっかりとスモーキー感が味わえる - 華やかさやフルーティーさが、見事に調和している
- 蒸留/熟成/ボトリング全てをアイラ島内で一貫生産
「スモーキーなウイスキーを飲みたい」「アイラモルトが気になっている」「スモーキーさがキツくないが、しっかりとピート感が楽しめるボトルを探している」といった方に、ポートシャーロット10年はオススメです。
ぜひ、最後まで読んで頂き次回購入するウイスキーリストに加えてみてください。
【概要】スコッチ シングルモルトウイスキー「ポートシャーロット10年」をご紹介
ブルックラディ蒸溜所は、アイラ産の材料を使い島内で一貫して生産を行うことを目指しています。
現在販売されている定番シリーズは、
❶ピートを炊かないウイスキー
❷ヘビーなピート香を感じるウイスキー
❸世界最強のスーパーヘビリーピ―テッドウイスキー、この合計3ブランドです。
今回ご紹介する「ポートシャーロット10年」は、❷に当たるヘビーなピート香を感じるタイプで、生産はアイラ島内で蒸留から熟成、ボトリングまで一貫して行った、まさにアイラウイスキーです。
また、甘味料やカラメル、人工着色料などを一切使用していません。
シングルモルト「ポートシャーロット10年」に使用している原酒
下記3種の樽で熟成した原酒をブレンドし、スモーキーさの目安となるフェノール値※は40PPMでボトリングされています。
- ファーストフィル アメリカウイスキー樽:65%使用
- セカンドフィル アメリカンウイスキー樽:10%使用
- セカンドフィル フレンチワイン樽:25%使用
フェノール値とは?
ピートの乾燥レベルを表す数値のことを指し、スモーキーさの目安になります。
ざっくりと20PPMで中間のレベルのスモーキーさです。
スモーキーさで有名な「アードベッグTEN (10年)」のフェノール値は約55〜65PPM、世界最強のヘビリーピーテッドの「オクトモア」は物によりますが80〜300PPMです。
ポートシャーロット10年の商品情報
容量(アルコール度数) | 容量:レギュラー700ml(アルコール度数50%) |
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分類 | シングルモルト スコッチウイスキー |
国・蒸溜所・所有社 | 国:スコットランド 蒸溜所:ブルックラディ蒸溜所 所有社:レミーコアントロー社 |
メーカー希望小売価格 | 公式サイトに記載なし ※6,700円前後で販売されている |
入手難易度(高い程困難) | |
公式サイト | https://rcjkk.com/bruichladdich/pc10yo/ |
【評価】ポートシャーロット10年の味わい・香り
「フェノール値が高い=スモーキー過ぎる」ということは全くありません。
むしろ深く柔らかな角のないピート感が引き立ち、全体的にフルーティーで華やかな印象で洗練されたシングルモルト ウイスキーです。
バーボン特有のバニラ香やカラメルのようなフレーバーと合わせて、アイラモルトらしいスモーキーさも感じます。
香り | ・ヨード香 ・ピーティー ・薬草 ・ナツメグ ・シナモン ・バニラ ・カラメル ・フルーティー ・スモーキー |
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味わい | ・口に含んだ瞬間、オレンジピールのようなビターな甘みを強く感じる ・ピート香(ヨード臭)の高い香りと風味の奥に柔らかな甘み ・生姜やナツメグのようなスパイシーさ |
余韻 | ココナッツやオレンジピールのような爽やかさが広がとピート香 |
初心者向け | しっかりとスモーキーなヨード香を感じるため、初心者の方への入門としては難しいですが、スモーキーなウイスキーを飲み慣れている方にはぜひおすすめしたい1本です。 |
総合評価 |
【3種類の飲み比べ】ポートシャーロット10年
ストレートの場合
強烈なピートの香りが楽しめ、フルーティーな甘味が強く感じます。
そして、シナモンなどのスパイシーさが甘さの中に広がります。
ロックの場合
飲む前に、薬草のようなピートの香りがし、口に含んだ瞬間ストレートよりさらに甘味を感じます。
口当たりは凄くライトに変化しました。
ハイボールの場合
炭酸を入れることで、よりピート感がライトになりますが、甘さもスッキリすることで、スモーキーさが目立ちました。
【歴史】ポートシャーロット10年を製造する「ブルックラディ蒸溜所」をご紹介
国(所在地) | スコットランド(アイラ島) |
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創業年/設立年 | ・設立:1881年 ・閉鎖:1995年 ・再開:2001年 |
運営 | レミーコアントロー社 |
見学 | あり(※詳細はこちら) |
公式サイト | https://www.bruichladdich.com/ |
ハウススタイル | ・ライト〜ミディアム ・重厚感 ・フルーティー ・スパイシー ・全体的にさっぱりとした印象 |
ブルックラディは、スコットランドにあるヘブリディーズ諸島アイラ島の西海岸沿いに設立した蒸溜所です。
蒸溜所名のブルックラディ(bruichladdich)は、ゲール語で「海辺の丘の斜面」を意味し、実際に海辺の海岸道路から一歩入った場所にあります。
2001年の春に再オープンしたブルックラディ蒸溜所
創業当時の伝統的な蒸留設備を残しながら、革新的なウイスキーづくりを実施しています。
ハーヴェイ3兄弟(ロバート、ウィリアム、ジョン)が、ブルックラディ蒸溜所を1881年にアイラ島で設立しました。
創業者のハーヴェイ 氏は、グラスゴーの大手ディスティラーのハーヴェイ社の人物です。
ハーヴェイ社は同年、スコットランド最大の蒸溜所だったダンダスヒル(※ 1902年 閉鎖)と、ヨーカーグレイン蒸溜所も所有していました。
ブルックラディ蒸溜所は、ダンダスヒルの設備を使用していたため、当時は最先端の設備でした。
52年にウイスキーブローカーのロス&コールター社が買収し、68年にはインバーゴードン社が買収し設備を増設しました。
しかし、1994年からアメリカの禁酒法や世界大戦など、度重なる不景気の波に影響を受け、とうとう1995年に蒸溜所は閉鎖します。
閉鎖から6年後の2000年。ボトラーのマーレイマクダビット(Murray McDavid)と地元住民たちが協力し、現在の日本円に換算すると約11億4,656万円(600万ポンド)で購入します。
それが功を奏して、2001年に蒸溜所は再稼働、2003年からはシングルモルトのボトリングを島内で実施しました。
マーレイマクダビット社が運営するようになり、蒸溜所には「テロワール※」の概念が導入されます。
(※ テロワール:生育地の地理や気候などによって品種の特長を示すフランス語です。)
これは、日本でもよく聞く「地産地消」の考えと似ています。
ブルックラディ蒸溜所は、ウイスキーづくりの原材料をはじめ環境も含め、アイラ島で一貫して行うことを目指し設備・環境を整えています。
ブルックラディ蒸溜所のこだわり
- 原材料へのこだわり
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アイラ島内にある農家さんたちと契約し、アイラ産の大麦を一部使用できるようになりました。
将来的には全ての大麦麦芽をアイラ産へ切り替える予定です。
現在はスコットランド産のものを組み合わせ使用しています。 - 製法へのこだわり
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熟成、ボトリングまで、全てアイラ島で実施しています。
ブルックラディは操業再開後、蒸溜所自体は2001年にディスティラリー・オブ・ザ・イヤー※を受賞し、2005年には英国女王企業賞=クイーンズ賞を受賞しました。
(※2003年、2006年、2007年にも受賞)
ヘビリー・ピーテッド・ウイスキー「ポートシャーロット」が発売され、その2年後に世界最強のヘビリーピーテッドなウイスキー「オクトモア」も発売され話題を生みました。
島内の人々と密接な関係を築いているブルックラディ蒸溜所だからこそ、島にとって今後ウイスキーづくりがプラスになるように、いくつかの取り組みを行っています。
その功績から、2020年にB Corp認証※をヨーロッパで初めて取得しました。
(※地域社会に根ざした持続可能な取り組みを行っている透明性のある事業として)
- 1、100%再生可能なグリーン水素エネルギーの導入
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可能な限り地球環境にやさしいエネルギー源を導入し、蒸留の脱炭素化することを目指しています。
また、蒸留器から出る廃水を加熱することで、施設内にあるオフィスや、ビジターセンターなどの暖房に利用しました。2011年にエネルギー協会環境賞を受賞しています。
- 2、農業の生産プロセスを改善し脱炭素化
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地元のコミュニティと連携・支援することで、有機栽培をはじめ循環型農業を行い、持続可能な環境に優しいウイスキーの原料となる大麦を研究機関とともに開発しています。
また2017~18年には、7,500本を植樹、蒸溜所の敷地全体の野生の花を保護するなど、豊かな自然を守る取り組みを行っています。
- 3、二次梱包の廃止をし、ボトルの素材も改良
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スコッチウイスキーでよく見かける、丸づつの缶の中にボトルが梱包されている二次梱包のスタイルを、ブルックラディでは廃止しました。
また、環境への影響を軽減した独自開発のガラス瓶(リサイクル ガラス)を採用。その結果、包装のCO2排出量が軽減、リサイクルガラスの重量を軽減することができました。
コンパクトになったことで、より多くのボトルを運ぶことができるようになり、輸送時の二酸化炭素排出量も削減できたそうです。 - 4、アイラ島の人々=コミュニティとの関係性の強化
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復興して以来、アイラ島に住む人たちとの関係性を大切に考え、雇用や農業、運送、建設など蒸溜所を中心に様々なサポートを行い、年間の生産量の一部ですが「アイラ島」だけで完結できるようになったそうです。
サスティナブルな取り組みは、ブルックラディ蒸溜所が復興してから掲げたテロノワールの考えに基づきます。
持続可能な取り組みを考え、これまでの方法に捉われず実施することで、革新的な新しいウイスキーが生まれています。
ぜひスコッチ シングルモルトウイスキー「ポートシャーロット10年」をお試しください
ポートシャーロット10年は、40PPMとフェノール値が高いのに反して、深く穏やかなスモーキーさやフルーティーな風味が調和しているシングルモルト スコッチウイスキーです。
スモーキーなウイスキーがお好きな方はもちんのこと、少し懸念している方にもぜひ飲んでいただきたいアイラモルトなので、ぜひお試しください。